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繊維学会誌のトリセツ
Useful Guide to Enjoy Sen’I Gakkaishi More
繊維学会誌は 1944 年創刊で、78 年続く歴史ある会誌である。学生時代よりお世話になった木村良晴会長のご指名により 2010 年より編集委員を拝命し、2012年より浦川宏委員長より委員長を引き継がせて頂いた。その後の事情で、2020 年に今の村瀬浩貴委員長に交代して頂くまで 8 年間委員長を続けさせて頂いた。この間、編集委員をはじめ多くの皆様のご助力を賜り、また多数の著名な方々とお近付きになれ、木村先生には大変感謝している。
本誌は、毎月の編集委員会で解説記事部分が企画され原稿が集められ、会告部分は事務局で用意され、それらが出版社にて表現上のチェックを経て組版される。その後、著者校正を経て印刷、毎月 10 日を目途に会員各位に発送されている。今の会誌は、表紙や記事のデザインが 2016 年より大きく変化した。これは当時の鞠谷雄士会長が、会員に学会の新たな躍進を感じて欲しい、と希望されてのことである。編集委員として産官学の方々のご協力を得ているが、全て無報酬のボランティアでの参加であり、この委員各位の多大のご努力で本誌は発刊されている。また、著者の方々へのご執筆のお礼はごく薄謝で、著者各位の貴重なお時間を頂いていることに感謝している。著者の皆様には申し訳ないが、本誌でのカラー使用は印刷コスト削減のため必要な場合に限定されている。著者の皆様から拝受したカラー図は、学会 HP よりリンクされているJ-Stage においてフルカラー掲載されているので、会員各位も冊子体のモノクロ版とは全く異なる華やかな紙面を楽しんで頂きたい。この J-Stage であるが、掲載されているのは冊子体の「時評」と解説記事のみで、それ以外の会告などは未収録である。将来、表紙なども含めた会誌 1 冊全てを読者が入手できることが望まれる。
冊子体の 12 月号には、出版社作成の総目次が掲載されている。これも J-Stage には未収録で、過去の記事を探すにはこの総目次に頼るか、J-Stage の目次をたどるしかない。総目次も将来読者に Web 公開されれば良いのだが、現在過去記事にアクセスするのは極めて手間なので、過去 10 年程度の私のお勧め記事を以下ご紹介する。
・編集委員長拝命時に、特に若手記事を重視するように会長が希望された。若手研究委員会委員
でもある髙﨑緑委員にご担当をお願いし、ご努力により 20 を超える号で多くの若手会員からご寄稿頂けた。若手各位の記念となれば幸いである。
・繊維学会創立 70 周年記念連載として、松下義弘先生に日本の繊維の歴史についてご寄稿頂くように 70 周年事業統括の木村先生からご提案頂いた。元繊研新聞の記者をされていて多くの資料をお持ちで、2013年から 2022 年まで連載記事を掲載して頂いた。まだまだネタは尽きぬ様だが、このままでは学会創立 80周年にまで続くので、とりあえず 100 回で終了した。これだけの内容を持つ記録は多分今まで無いだろう。将来これが有効利用されることに期待する。
・野々村弘人事務局長のご提案で、豊富な人材と情報量をお持ちの(一社)日本繊維技術士センター(JTCC)からのご寄稿をお願いした。全面的なご協力を頂き「業界マイスターに学ぶせんいの基礎講座」として連載され、後日書籍として出版された。第 2弾の「業界マイスターに学ぶアパレル製品の基礎講座」も出版済で、第 3 弾の「業界マイスターに学ぶせんい産業資材の基礎講座」は現在連載中で、終了後は出版を予定している。繊維技術を知り尽くした皆様のご執筆なので、大変わかりやすく基礎を網羅した連載である。出版済の書籍は本誌掲載時より改定されているので、必要な皆様はこちらをお求め頂くのがお勧めである。
・繊維関連の大学特集が、71 巻(7 号)、72(2、4、6、7、10、12)、73(5)に掲載されているそれぞれの大学の特徴が紹介されている。
・繊維学会の有する研究委員会の特集号が、69(5、6)、69(10)、73(10、11)、74(3、6、12)、
75(2、5、6)、76(4)、77(8)、78(2、3、6)に掲載されている。それぞれの研究委員会のアクティビティーがよくわかる。
・繊維関連部門を持つ公設試の多くを、学会理事の大泉幸乃様にもご協力頂き73(2~4)の3回で特集した。地域に貢献する各公設試のご活躍が詳しく紹介された。
・平井利博先生ご紹介の小野栄一様(国立障害者リハビリテーションセンター)のご協力を得て、「リハビリテーションを支える繊維」特集を69(11、12)に掲載した。障がい者の皆様の衣類サポートを繊維業界が担う重要性が実感できる。
・西田幸次委員のご担当で、連載「文化の伝承 -祭り-」が 69(4、5、6、7、8、9、10、11)、70(7、8、10、11)、71(4、6)、72(10、11)に掲載された。繊維関連の皆様からもご寄稿頂き、楽しめる文化記事である。
・1月号の新春企画として、72(1)に「若手海外留学報告」、73(1)に「海外からの留学生の見た日本」を掲載した。いずれも世界の中の日本を実感できる多くのご寄稿を頂いた。75(1)では「未来について若手研究者 48 人に聞きました」という企画で、将来の繊維技術を予測して頂いた。今から 100 年前は大正時代半ばだが、その時と現在を比較して、皆様も 100年後の衣服を想像されてみるのはいかがだろうか。
土田 亮(岐阜大学 名誉教授)
*繊維学会誌2022年8月号、時評より
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