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2022年を振り返って
Looking back on 2022.
繊維学会会員の皆様、あけましておめでとうございます。新年を迎えるにあたり、会員の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。ポストコロナへの転換が予想より速度が遅いものの、着実に進んできていると考えます。昨年 1 月終わりの繊維技術講座を皮切りに6月の年次大会をハイブリッド形式で開催しました。外国からの参加者への対応が難しいAsian TextileConference-16はオンライン開催となりましたが、秋季研究発表会はオンサイトでの発表を重視したハイブリッド形式で行われました。会場となった鳥取地区の皆様には多大なる尽力をいただき、地域との連携の重要性、有難みが骨身に沁みました。また、懇親会も細心の注意を払って開催されました。オンラインでのメリットを活かしつつ、それぞれのイベントの特徴に合わせてやり方を模索し最適化を図る一年であり、研究発表はオンサイトで、基礎講座、応用講座などの講演会はオンラインでというガイドライン(方法論)はできあがったように感じます。それぞれのイベントを担当いただいたい実行委員、企画委員の皆様には、普段にも増してご苦労いただきありがとうございました。
さて2022年を振り返ると、本会にとって大きな岐路でございました。繊維系三学会の統合に関し、本会では理事会において統合に賛成する旨の議決を行い、続いて正会員の皆様に承認を頂くべく、議決権行使による投開票を行いましたが、2/3以上の賛成を頂くことができず、承認に至りませんでした。本会理事会では、統合に対して議論が十分でない、議決権行使は時期尚早である等の慎重意見も散見され、合併案承認の決議も満場一致とはなりませんでした。理事会内部を纏めきれず、プロセスを進めることに重きを置いた小職の判断に対して、少なくない会員から信頼を失ったものと考えられます。本来は理事会メンバー全員が、一体となって決議事項の推進に注力しないといけないところ、様々な懸念事項が表明され、それを払拭することができかった小職の責任も痛感した次第で、皆様にも弁明の機会をいただきました。
繊維に関わる産官学を取り巻く環境は何ら変化しておりません。繊維学会としては、新体制の下で運営基盤を固めつつ、会員の皆様の声を聞き、将来構想についても引き続き検討していく必要があると思います。小職に残された任期はあと半年となりましたが、盤石な新体制へのスムースな移行を可能にするべく、今回の件をきちんと総括し、学会の将来像に対する会員の期待、希望を調査し、次期体制への引継ぎ資料を作りたいと考えております。また、学会誌、論文誌の編集委員会に関しても規則を整備し、多くの会員にコミットいただけるような体制作りも同時に行うことにしております。
個人的な視点から2022年を振り返りたいと思います。私事ですが、大学の研究室のWEBサイトに2018年から「雑文」を書いていたのですが、2021年11月を最後に1行も書けなくなりました。個人的な話も多かったわけですが、一応サイエンスにも気を配りそれなりに時間をかけて執筆・公表しておりました。人間のメンタルとは不思議なもので、なんらかの「懸案事項」があると「この手のこと」に対して気が進まなくなるようです。会議打ち合わせが増えて、日曜日などに時間を使うことができなくなったということもありますが、「楽しくなくなってしまった」というのが第一の理由のように思えます。大きな決定を会員の皆様にお願いするという重圧は確かにあり、「気持ちの切り替え」が可能な程度を越えてしまっていたからでしょう。9月が終わっても、「気が進まない状況」はまだ続いておりますが、年が明けて年男ということもあり心境も変わるかもしれません。
2022年には事務局の体制も新しくなりました。2010年7月から事務局長として繊維学会を支えていただいた野々村弘人氏が、昨年10月に学会事務局を退かれました。長年にわたる、御尽力に学会員を代表して深く感謝申し上げます。2010年8月に東レの三島で開催された夏季セミナーの実行委員として、初めて一緒にお仕事させていただいたことをよく覚えております。新体制は山本恵美事務局長の下、加藤沙織氏に加わっていただきさらなる会員サービス向上目指して尽力いただいております。末筆になりますが、今年一年が会員の皆様にとっても、繊維学会にとっても記憶にも記録にも残るような実りある輝かしい一年となりますことを祈念いたします。
荻野 賢司(東京農工大学 教授)
*繊維学会誌2023年1月号、時評より
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