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2023年度年次大会対面開催に向けた期待と願い
Expectations and Wishes for the 2023 Annual Conference to be Held In-Person
2020年1月、わが国初の新型コロナウイルス感染者が報道されてから、早3年が経過しました。繊維学会年次大会においても、2019年度の対面開催を最後に、2020年度は大会開催中止(予稿集により大会成立)、2021年度には完全オンラインによる実施、そして昨年度はハイブリッド開催と、試行錯誤を繰り返しながら、皆様との繋がりを絶やさぬよう工夫されてきました。経験のない大会運営を円滑に行った当時の実行委員長始め、委員の先生方のご努力には、頭が下がる思いであります。
そして2023年度の年次大会は、2019年以来の「完全対面開催」として大会を実施いたします。参加される全ての皆様と顔を合わせ、議論し交流することの素晴らしさや重要性を改めて認識できれば幸いです。2023年度の年次大会での発表セッションは、例年実施されている下記9分野の一般セッションに加え、特別セッション1件を実施することとなりました。
1. 繊維・高分子材料の創製(後関頼太・浅井華子)
2. 繊維・高分子材料の機能(道信剛志・秋岡翔太)
3. 繊維・高分子材料の物理(檜垣勇次・加部泰三)
4. 成形・加工・紡糸(入澤寿平・冨澤錬)
5. 染色 ・ 機能加工・洗浄(廣垣和正・葛原亜起夫)
6. テキスタイルサイエンス(坂口明男・朱春紅)
7. 天然繊維・生体高分子(吉岡太陽・鈴木悠)
8. ソフトマテリアル(荒木潤・平井智康)
9. バイオ・メディカルマテリアル(神戸裕介・橋本朋子)
10. 特別セッション「量子ビーム利用による繊維・高分子材料の構造解析」(櫻井伸一)
11. ポスターセッション(敷中一洋・金炅屋・小瀬亮太)
※括弧内はセッション担当者(順不同・敬称略)
発表件数は、総数319件(特別講演1件、招待講演16件、口頭発表168件、ポスター発表134 件)と、大変多くの会員様にご発表いただけることとなりました。また、今大会初の試みとしては、ポスターセッションでの過度な密集を避けるため、大会初日(6月14日㈬)1回、大会2日目(6月15日㈭)3回、の全4回のオブリゲーションタイムを設けました。
このため、一部のポスターセッションが口頭発表と並行して進行することになりますが、ポスターセッションを研究分野毎に分け、口頭発表の分野とポスターセッションの分野が重複しないようにしてあります。
口頭発表は、大会初日午前より順次セッションが始まり、大会3日目15時まで行います。大会 2日目午前には、学会賞、技術賞の受賞講演があり、更に同日夕刻には、特別講演を予定しております。
今大会の特別講演には、NewsPicks副編集長であり、科学ジャーナリストの須田桃子先生に「STAP 細胞事件に学ぶ研究不正の構造とリスク管理」と題してご講演いただくこととなりました。
2014年1月、理研をはじめとした研究者らを著者とする2本の論文が発表されました。この論文において、「STAP細胞」と名付けられた多能性細胞の発見は、生物学の常識を覆す成果であるとともに、若手女性研究者の活躍という側面からも大いに注目され、研究者のみならず社会的に大きな反響を呼びました。しかしながら、これらの研究成果の不正(改ざん及びねつ造)が発覚し、日本の科学研究の国際的信用を失墜させる大問題へと発展しました。
須田桃子先生は、当時記者として、この問題を独自の切り口で取材し、大宅壮一ノンフィクション賞、科学ジャーナリスト大賞を受賞されています。本講演では、ジャーナリストというお立場から科学分野における研究倫理と不正行為の客観的な分析を通じてそのリスク管理についてご講演をいただきます。
さらに今大会では大会2日目には「懇親会」を計画しています。3年前まで実施してきた懇親会をそのまま復活させることは難しく、また状況により判断が必要ではありますが、参加される皆様が交流を深められるよう、準備を進めております。
現在、28名の実行委員と事務局により、工夫を凝らしながら、安全・安心な、そして有意義な大会となるよう、準備を進めています。全てが元通りというわけには参りませんが、今大会の開催を通じて、皆様のより強い絆を築いていただき、今後の研究活動に行かしていただければ幸いです。
最後になりましたが、今大会への発表を申し込まれました多くの皆様、また招待講演をお引き受けいただきました16名の先生方、今大会にご協力賜りました企業様各位におかれまして、深く感謝申し上げます。実行委員共々、皆様とタワーホール船堀でお会いできることを楽しみにしております。
中澤 靖元(東京農工大学 教授)
*繊維学会誌2023年4月号、時評より
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