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第52 回繊維学会夏季セミナーin岐阜9月に向けて
Coming September, the 52nd Summer Seminar of SFSTJ in Gifu
今年度、第52回繊維学会夏季セミナーを9月岐阜にて開催致する。少々前ぶりが長くなるが、お付き合い願いたい。ChatGPTに代表される大規模言語モデルが我々でも簡単に利用できるようになった。学生のレポート作成にはネット検索が大いに活用されているが、ついにAIが活用される時代となった。私は、入門講義を開始するに辺り、「ポリ袋とビニール袋の違いは何か?」と学生に問いかけている。この程度の問いかけには、ChatGPTは正確に解答してくれる。一方で大学の理系専門レベルには、届かないようでひとまず安心できる。そこで、「繊維学会の今後について可能性を教えて下さい。」とChatGPTに問いかけてみた。その結果が下記の通りである。
繊維学会は、繊維に関する学術的な研究や技術の進歩、産業の発展などを促進するための団体です。今後の繊維学会の可能性については、以下のような点が挙げられます。
1.繊維分野の技術革新の促進:繊維分野は、衣料品、家庭用品、自動車、医療、建築など様々な分野で
使われており、その需要は年々増加しています。このような市場動向に応じて、繊維学会は最新技術の開発や研究成果の発表を促進することで、分野の発展を促すことができます。
2.グローバルな繊維産業の発展支援:繊維産業は、世界中で発展しています。繊維学会は、国内外の繊維関連企業や研究機関と連携し、グローバルな繊維産業の発展を支援することができます。
3.繊維分野の新たな可能性の発掘:繊維は、材料の特性や加工方法によって、多様な機能を持つことができます。繊維学会は、繊維の新たな機能の発掘や、新たな応用分野の開拓を促進することで、分野の可能性を広げることができます。
4.教育・普及活動の強化:繊維学会は、繊維分野の専門家の育成や、一般の人々に向けた繊維に関する情報の提供を行っています。今後は、より多くの人々に繊維分野の魅力を伝えるために、教育・普及活動の強化が必要であると言えます。
これらの取り組みによって、繊維学会は、繊維分野の発展を促進し、社会に貢献することができると考えられます(ChatGPT 3.5, 2023.4)。
以上、まったく文章に手を加えていない。ChatGPTの回答は如何だっただろうか。この回答は既知の内容に、強化、発展、促進と言った修飾語を追加しただけであり、何も新しい要素を加えていない点に留意する必要がある。ChatGPTは、引用元を示さないためソースは不明だが、同じ質問をBingAI(Microsoft)に聞くと、返答は異なるものの、同時に引用元を示してくれる。これによると、繊維学会、経産省、環境省などから情報を得ていることが分かる。大規模言語モデルは、膨大な既存知識データから回答を導き出すため、存在しない概念や知識を示すことはできない。我々は、AIがより賢くなるために研究を重ね、繊維に関する新たな知識の供給源となるようである。その内、AIが判断しやすいように、論文にタグを入れる時代がくるのかもしれない。一方、対面での表情、身振り、声の抑揚などの意思伝達と文字や録画が残らない状況での本音の発言は、AIが今のところ情報源とできない領域である。2023年度の第52回繊維学会夏季セミナーは、対面開催とし久しぶりに懇親会も再開することとした。本年度の夏季セミナーは、東海支部が担当し「未来志向かつ持続可能な繊維業界の構築に向けて」と題して岐阜にて開催させて頂く。参加者の交流の中から深く議論できることを期待している。二日間の日程のうち、特別講演には、理化学研究所の伊藤 孝氏をお招きし、老化・長寿に関する最先端の研究についてご講演頂く予定である。まず、我々が持続的である必要がある。講演は未来志向型繊維成形技術、繊維製品のサスティナブルデザイン、サスティナブルバイオ材料、高分子の未来(変形挙動)予測、国産炭素繊維市場の持続可能性、未来志向型ナノ材料と題した各セッションでは、新進気鋭の若手の方からベテランの講師まで、多くの皆様に興味を持って頂き、議論を深めて頂けるようプログラムを編成したつもりである。詳細は、学会HPで随時更新するので、ご確認をお願いしたい。会場の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」へは、JR岐阜駅、名鉄岐阜駅からバスも多数出ているが、駅から徒歩でも柳ヶ瀬(1.2km)を横目に通過し、2.2 km(約25分)ほどで到着する。さらに、会場から岐阜城に至るロープ−ウェイへは、2.5 kmほどなので、天気がよければ、歩き観光と欲張ってもよいと思う。岐阜の飲食店街は、柳ヶ瀬から岐阜駅北側に移ってきており、駅まで戻れば地元の食材を堪能できる。今年度の夏季セミナーin岐阜では、未来志向かつ持続可能な繊維業界の構築に向けて議論が深まるとともに、繊維学会の未来をもう一度見つめ直すセミナーになることを祈念し、皆様のご来場をお待ちしている。
武野 明義(岐阜大学 教授)
*繊維学会誌2023年6月号、時評より
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